No.08 _ 知っておきたい認知症:レビー小体型認知症
数多くの認知症の原因疾患がある中で皆さんにぜひ知ってもらいたいのが、「幻視を伴う認知症」として知られる【レビー小体型認知症】です。
感情の起伏が激しい、夜中に騒ぐ、自宅を認識できず「帰る」といって家を出て行こうとする…といった症状が出現することがあり、時に家族が対応にとても苦労する認知症です。
レビー小体型認知症が認知症全体に占める割合は、病理学的検討(死後、脳を解剖し診断を確定させる)ではおよそ20%といわれています。
しかし、当院ではその割合は30~40%にものぼります。
多岐にわたる症状をきたし、家族が対応に困り、医療機関に頼らざるを得なくなるために、当院のような認知症専門外来への受診割合が押し上げられているのではないかと考えます。
そこで今回は、このレビー小体型認知症の症状について詳しくみていきたいと思います。
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No.05 _ お節介ですが、デイサービスに行きましょう
「先生、母がデイサービスへ行ってくれません」
Aさん(50代女性)の母親は80歳。
当院に通う認知症の患者さんで、週に3回、デイサービスを利用しています。
はじめの数ヶ月はイヤイヤながらも家族の説得に応じてデイサービスに行っていましたが、
最近はデイサービスへ行く日の朝になると、めまいがする、腰が痛い、気持ちが悪い、咳が出る…などなど、あらゆる言い訳を並べて、デイサービスへ行くことを拒否するようになりました。
デイサービスを休んだ日は、そのまま布団の中にもぐり込むか、布団から出たとしても、ソファに座ってぼんやりとテレビを眺め、気づくとうつらうつら寝ています。
朝のもろもろの訴えはどこへやら。
家族としても「何だかなぁ…」という気持ちになってしまいます。
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No.04 _ 夫の介護は危うい
認知症の原因の半数以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、女性のほうが有病率が高いことが知られています。
従って、当然のことながら妻が認知症に罹患し、夫がその介護を担うことがあります。
認知症の介護において、介護者が「夫」の場合、夫ゆえの難しさがあり、夫だからこそ窮地に陥る可能性があることを知っておいてほしいと思っています。
以下はあくまでも、私が見てきた危うい状態に陥りがちな「夫の姿」を書き記したものであり、すべての方に当てはまることではありません。
ただ、自分は大丈夫だと思っている方こそ、私は心配しております。
妻の介護を担う夫の方々、そして、その夫をサポートする方々、どうかこの小文をご一読いただき、役立ててもらえれば幸いです。
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No.02 _ 家族の気持ちと頭を整える
前回は、
①家族の関係性の難しさ
②受容の難しさ
③心にすり込まれた「理想の家族像」
この3つが、介護をする家族を苦しめる要因になりうることをお伝えしました。
上記の事柄はどの家族にも当てはまることですが、その克服は簡単なものではありません。
しかし、事実として知っておくことで、介護者の苦悩が多少なりとも軽くできるはずです。
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